在宅介護のリフォームポイント! 施工のタイミングや使える補助金


在宅介護のため家をリフォームする際、何に注意すればよいかポイントを押さえておきましょう。1947年から1949年、第一次ベビーブームで誕生した団塊の世代は、2025年に75歳以上の後期高齢者となります。被介護者が多くなり、介護者や施設が少なくなるなど社会保障などの問題が危惧(きぐ)され、2025年問題として知られるようになりました。介護施設への入居も、施設が少なく入居待ち、資金が不足して利用できない可能性もあります。

また、自分たちで面倒を見たいという理由で在宅介護を選択する家庭も多いでしょう。ただ、在宅介護では、そのままの家だと介護に適していない場合があります。バリアフリーなども考えなければなりません。家を介護しやすくリフォームする際に押さえておきたいポイントを解説します。

  1. 介護リフォームについて知ろう
  2. 介護リフォームの浴室・トイレ・階段などの事例
  3. 介護リフォームにかかる費用について
  4. 介護リフォームは補助金などを利用しよう
  5. 介護リフォームの流れや業者選びのポイント
  6. 介護リフォームに関するよくある質問

1.介護リフォームについて知ろう

介護リフォームとは何か、まずは知っておくことが大切です。「とにかく行ったほうがよい」では、高い費用もかかるのに納得できないでしょう。どうして行ったほうがよいか知れば、どんなリフォームをすればよいかも分かってきます。

1-1.介護リフォームやバリアフリーを行う目的

介護リフォームは『高齢者や被介護者が生活しやすい』『介護者の負担の軽減』『介護者自身が高齢者になったとき住みやすい家にするため』という3つの目的があります。高齢者や被介護者は、外出、入浴、排泄(はいせつ)など、若いころは問題なかった当然の行為でもむずかしくなるものです。その点において、リフォームすれば、高齢者や被介護者の事故リスクを減らせます。自力で生活するためのモチベーションもアップするのです。

また、介護者となる家族のことも考えなければなりません。転倒しないように寄り添って歩く、車いすを動かす、抱きかかえるなども、介護しやすい家でなければ介護者の負担は大きいです。

さらに、介護リフォームは介護者自らのためにもなります。介護者も年を重ねれば被介護者と同じ状態になるかもしれません。年齢や被介護者でリフォームするのも資金面、体力面でも大変です。そのため、高齢者や被介護者となる前に介護リフォームをすることは、自分や家族のためにも助けとなります。

1-2.介護リフォームのタイミング

家を介護リフォームするタイミングのひとつは、家族の誰かが被介護者になったときがあります。もちろん、要介護状態でないとき将来のことを考えて行うのも悪くありません。65歳以上の高齢者が転倒する場所として、77%が住宅という話もあります。

早期に行うことで、転倒予防も期待できるのです。若いころなら少々の転倒で大ケガをする可能性も低いでしょう。身体機能が低い高齢者では少しの転倒で被介護者になる場合もあります。

また、被介護者の場合でも、介護リフォームをすることで、すべて介護者に頼るのではなく自分で行えることはやるという自立心を保てるのです。

1-3.介護リフォーム計画の立て方

いいかげんな計画で介護のための増築やリフォームを行うと後悔します。よくある失敗は、何も考えず、手すりやスロープなどを設けることです。被介護者や高齢者が自力で、何が行えるかも理解し、合わせたリフォーム計画を立ててください。

他にも、介護者のことも考えたリフォーム計画を立てることも大切です。車いすごと入れるような広いトイレにしたとします。ただ、広すぎると掃除をするときなどで介護者に大きな負担がかかる可能性が考えられるのです。

逆に狭すぎると介護が難しくなるので、被介護者の状況に合わせて検討しましょう。必要な設備は、被介護者の心身状態や、介護者の使いやすさで大きく異なります。被介護者の要望も含め、業者と相談し、計画を立てることが大切です。

2.介護リフォームの浴室・トイレ・階段などの事例

介護リフォーム失敗しないためには、他者が行った事例を参考にすることです。成功、失敗、どちらも関係なく事例をチェックしてみてください。自分のところと似たような被介護者や家、マンションなら計画を立てる際の参考になるからです。

2-1.浴室・トイレ・階段・ドアなどのリフォーム

浴室、トイレ、階段、玄関や部屋のドアなどが一般的によく行われるリフォーム場所です。それぞれどの点で介護リフォームをしたほうがよいかポイントをご紹介します。

2-1-1.浴室

浴室は高齢者や被介護者の事故が多い場所のひとつと言われています。浴室の床がすべりやすい、脱衣室との間に段差がある、浴槽への入りづらさなどが考えられるでしょう。

また、浴室はヒートショックという事故が発生しやすい場所です。暖かいところから寒い場所へ移動すると、急激な温度変化が生まれます。結果、血圧に大きな変化が起きて、失神、不整脈、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わるような重大疾患につながる場合があるのです。

ヒートショックがきっかけとなり、転倒して頭を強くぶつける、湯船で溺れる事故も発生しています。そのことも踏まえ、浴室では、手すりや、浴室、脱衣室に暖房設備を設置するのもよいでしょう。

2-1-2.トイレ

トイレは被介護者と介護者を悩ませる場所のひとつです。排泄は日常的に行う場所ですが、足腰に負担をかけます。また、使いづらいと排泄物で汚れ衛生面と介護者の労力という面で問題が生じやすいです。

介護という観点で考えると、和式トイレより洋式トイレのほうがよいでしょう。車いすの使用が想定されるなら、ある程度の広さは確保したいところです。ただし、広くしすぎると今度は掃除が大変となります。その点も含めて適切な広さにしましょう。また、手すりなども設置したいところです。

2-1-3.階段

階段での転倒もよくある事故のひとつです。急な角度の階段は転倒リスクを高めます。基本的には、緩(ゆる)い勾配(こうばい)や段差を小さくするような配慮(はいりょ)が必要です。

スペースを広くするのもよいでしょう。手すりやスロープを設置することで、昇り降りのサポートができます。夜、足元が見えないのも転倒する可能性を高めるため、足元灯を設置するのもおすすめです。

2-1-4.ドア

車いすの使用を想定した場合、開き戸は利便性が高いと言えません。開き戸の場合、開けると人にぶつかる可能性もあります。そのため、引き戸という選択も考えたほうがよいでしょう。開閉を簡単にするなら、ドアノブよりレバーハンドルタイプなどがおすすめです。

2-2.介護リフォームのポイントや注意点

介護リフォームの基本は、被介護者や高齢者の立場になって考えることです。手すりは被介護者、介護者にとっても便利な設備と言えます。浴室や階段に手すりを設置すれば体を支えるとき、非常に便利です。

ただ、持つ部分が太すぎると持ちづらいという問題も出てきます。また、位置についても注意しなければなりません。位置によっては、力が入らない、持ちづらいという問題が出てくるからです。他の設備にも、実際に使用する人間のことを考えた上での選択が大切になるでしょう。

3.介護リフォームにかかる費用について

介護リフォームにもさまざまな設備があります。ただ、設備自体や規模によって費用が高くなる可能性もあるので注意してください。予算に十分な余裕があるならどんな設備でも設置可能ですが、そうでない場合はお財布と相談しながらできることとできないことを整理しなければなりません。介護リフォームの費用相場について解説します。

3-1.リフォーム場所の種類の費用相場

各場所のリフォーム別費用相場を解説します。ただし、業者やどんなリフォームをするか個別の状況で費用はかかるのであくまで参考程度にしてください。

3-1-1.浴室

浴室と脱衣所の段差を失くす場合、約20万円です。手すりは約3万円~5万円。浴室の転倒を防ぐ床に張り替えるなら5万円前後が相場です。被介護者を持ち上げるリフトなどは約30万円かかるでしょう。介護者の負担軽減に役立ちます。浴室の出入り口を広くするなら、40万円前後です。

3-1-2.トイレ

手すりの設置だと、設備、工事費用で約3万円~10万円です。引き戸にするなら、10万円~20万円前後。和式から様式へのリフォームは20万円~40万円です。ヒートショック予防として暖房設備を設置するなら約15万円となります。

スペースを広くする場合、10万円~30万円です。出入り口の段差は2000円~10万円となります。段差のリフォーム費用の差についてですが、配管工事までしないといけなくなる場合があるからです。工事規模が大きくなるに比例して、費用は高くなります。

3-1-3.階段

階段の昇り降りが困難な被介護者や高齢者のための階段昇降機の設置は50万円からです。設備のグレードが高ければ費用も比例して上がります。階段や廊下に手すりを設置する場合は10万円~15万円前後が相場です。車いすで廊下を広くしたいなら、20万円~60万円程度となります。高額になる場合、理由のひとつとして、リフォームだと壁全体の解体工事が必要となる場合もあるからです。

3-1-4.ドア

開き戸から引き戸へ変える場合は、10万円~15万円程度です。

4.介護リフォームは補助金などを利用しよう

介護リフォームで対象場所になるのは複数の場合もめずらしくありません。リフォームする場所が多ければ十分な資金も必要です。しかし、資金に余裕がある人はほとんどないでしょう。介護自体の費用も安くありません。被介護者本人の貯蓄だけでなく、家族の負担も大きくなります。そんなときは、補助金の活用を考えてみてください。

4-1.介護保険の住宅改修費などの制度について

介護保険では条件を満たしたとき、補助金が支給される制度が設けられています。一般的に『住宅改修費』と呼ばれ、被保険者が必要としてリフォームを行ったとき、条件を満たしていれば、申請することで補助金の支給があるのです。条件について理解しておけば、介護リフォームを計画する上で役立ちます。

4-2.住宅改修費の支給要件について

補助金受給の対象者は、要介護認定を受けた要支援、または要介護に認定されている人です。介護保険被保険者証に記載された住所の住宅が対象となります。利用者が福祉施設に入居していると受けられません。病院に入院中でないことも条件のひとつです。

補助金の上限は、被保険者ひとりに改修費用20万円までで、1割が自己負担となります。リフォーム工事が20万円だと、2万円が自己負担です。工事費用が20万円を越えた分についてはすべて自己負担となります。

また、原則として被保険者ひとりに1回の給付となりますが、20万円まで分割による利用が可能です。具体的には手すりをつけて5万円かかり、二回目はトイレのリフォームをして補助金15万円を使うという分割方法となどとなります。

注意したいのは、被介護者の要介護度が三段階上がった場合です。三段階上がると、再度20万円が支給されます。ただし、ひとり1回に限るので注意してください。

4-3.住宅改修費取得のための利用手順

住宅改修費が支給されるまでの、一般的な利用手順について解説します。

  1. 自治体に要支援、要介護認定を受けます。
  2. ケアマネージャーに相談し、住宅改修プランを検討。施工業者の選択も行います。
  3. 施工業者と契約。ケアマネージャーも同席し、改修場所や工事内容をチェックします。見積書を作成し、依頼して契約という流れです。
  4. 『住宅改修費支給申請書』『住宅改修理由書』『工事見積書と工事図面』『改修前の状況が分かるもの(写真など)』の書類を提出。
  5. 工事。完成
  6. 施工業者に工事費を支払います。このとき、利用者は費用全額を支払って施工業者から領収書などを受け取らなければなりません。
  7. 市町村に支給申請書類を提出します。『改修前後の状態が分かるもの(写真や図面)』『領収書』『工事費の内訳』『住宅の所有者の承諾書(所有者が違う場合に必要)』
  8. 住宅改修費が市区町村から支給されます。

4-4.介護保険以外に補助制度があります

介護保険だけでなく、市区町村など各自治体が介護リフォーム補助金制度を設けている場合もあります。介護保険と併用可能のものや、介護認定などの条件がなく使えるもの、住宅改修費を利用したことがないなど、さまざまな条件が設けられていることが多いです。各自治体で内容が異なるのでまずは役所などでお問い合わせをしてみてください。

5.介護リフォームの流れや業者選びのポイント

具体的に介護リフォームを行うときは、流れを知っておくことは大切です。仕事をしながら空いた時間で介護リフォームをしなければなりません。また、業者選びを失敗すれば後悔することもあります。悪質業者にひっかからないためにも、業者選びや工事の流れや日数も含めて、ポイントを理解しておきましょう。

5-1.業者の選び方やポイント

介護リフォームで特に注意したいのが業者選びです。リフォーム業者ならどこでもよいわけではありません。中には、被介護者や高齢者の状態と関係なく、コストがかかる設備を好き勝手に施工する業者も存在するからです。手すりが不要なところまで多数設置、高額な素材を使用し高い工事費を請求する業者も残念ながら存在します。

基本的に、介護リフォームの実績が豊富な業者を選ぶと安心できるでしょう。また、福祉用具専門相談員、福祉住環境コーディネーターなど、専門知識を持った専門家と協力体制ができている業者かどうかもポイントです。

また、見積もりも出してもらってください。見積もりの項目をチェックし、不審な点があるなら説明を求めましょう。はぐらかす、不自然な回答しか出ないなら警戒してください。介護リフォームの工事内容については、ケアマネージャーと相談していけば大きな失敗を減らせるでしょう。

5-2.工事の流れや日数は業者や種類でそれぞれ異なる

介護リフォームの工事の流れや日数は、施工箇所(せこうかしょ)や業者、施主の事情により大きく変わります。ただ、多くの場合、工事を行う前に下見や見積書の提出や着工期日など打ち合せを行わなければなりません。その点を踏まえるとまず1日で終わることはないでしょう。ただ、あえて例を出すと、和式トイレから洋式トイレに変わる工事など3日かかることもあります。

スタートしてトイレの取り外し→下地工事→本体と据え付け工事、それぞれ1日はかかるでしょう。手すりの取り付けに関しても、複数箇所設置するなら時間もかかります。リフト設置など、大規模な工事が必要ならそれだけ時間がかかると考えておきましょう。工期については打ち合せ時、業者とよく相談することをおすすめします。

5-3.介護リフォームはケアマネにまずは相談

介護リフォームを生まれて初めて行う人は多いでしょう。介護リフォームを施工する業者もどれを信頼してよいか分からないことも多いはずです。基本的には、ケアマネージャーなどに相談することをおすすめします。

また、施工業者は実績を参考にしましょう。大手以外にも、地元密着の業者もあります。地元密着で何年も経営を続けられたのは、まさに実績があるからです。

他にも、下請けや孫請け業者にすべて放り投げる業者かどうか、施工後のアフターフォローもきちんと行ってくれるかもチェックしてください。プランに関してもちゃんと相談に乗ってくれる業者を選んだほうが後悔する可能性が低いでしょう。

6.介護リフォームに関するよくある質問

介護リフォームでよくある悩みをご紹介します。介護リフォームを検討している人の中に、同じ問題でお悩み中の人もいるのではないでしょうか。参考にしてみてください。

Q.介護保険の住宅改修費を利用する上で多い失敗って何?
A.工事前に市区町村へ事前申請することです。工事の開始後、また、終えたあとでは申請しても原則的に認められないので注意してください。ただし、何かしらの事情で事前申請ができない場合もあるかもしれません。そのときは工事前に市区町村へ相談することをおすすめします。

Q.住宅改修費や補助金以外に資金不足を助けてくれる制度ってある?
A.バリアフリーリフォームに対する減税制度などがあります。要介護者本人や同居人が所有して住んでいる住宅が対象でバリアフリー工事を行った際、控除対象限度額を上限とした10%控除を受けることが可能です。ただし、条件も複数あります。

  1. 50歳以上
  2. 要介護者、または要支援認定を受けている
  3. 障害者
  4. 65歳以上の高齢者、または、上記2と3に該当する親族と同居している者

他の条件として、浴室やトイレ改良、手すりや段差の解消などバリアフリーリフォームとして代表的なものが対象です。さらに、工事費50万円以上で確定申告が求められます。国税庁や市区町村に問い合わせをしてみてください。

Q.介護保険を使用した住宅改修費では『償還(しょうかん)払い』と『受領委任払い』のふたつがあると聞いたけど何?
A.償還払いは工事が完了したあと、施工業者に工事費を支払ってから給付金をもらう形です。償還払いでは、施主自らのお金を支払わなければなりません。あとで領収と申請書を自治体の窓口に出せば給付金が支給されます。一方の、受領委託払いは自己負担分だけを施工業者に支払えばよいという形です。あとで必要書類を自治体の窓口に提出すると、施工業者は給付金を取得できます。自治体ごとに異なり、償還払いと受領委託払いどちらか一方、または選択形式のところもあるので事前に問い合わせをしておきましょう。

Q.施工中に思わぬトラブルでリフォーム外の部分が壊れたらどうすればいい?
A.良識的な施工業者ならきちんと対応してくれます。基本的に、万が一のトラブルに備えて、労災保険や工事保険に加入している施工業者がほとんどです。逆に言うと、労災保険や工事保険など加入していない業者に施工を依頼するのは控えたほうが無難でしょう。依頼前にはその点を聞いて確認しておきましょう。

Q.介護リフォームでケアマネージャーは必要?
A.ケアマネージャーは介護全体で大きな力になってくれます。ケアマネージャーとは、要介護者のためにケアプランの作成や、介護サービスを利用するための調整や管理や介護保険に関する申請を行うのが仕事です。介護リフォーム自体はケアマネージャーがいなくてもできます。ただし、ケアマネージャーのような専門知識がない状態で、自分勝手に介護リフォームをしても失敗する可能性が高いです。

また、介護保険に関しても、書類作成は手間がかかります。施工業者に介護リフォームの専門知識をきちんと理解していないと施工したけれど無用の長物にもなりかねません。そのため、介護リフォームを検討するなら、ケアマネージャーにきちんと相談することをおすすめします。

まとめ

介護リフォームは被介護者だけでなく、介護者にとっても重要な意味を持っています。被介護者が住みにくい家は、介護者にとっても住みづらくなる可能性が十分にあるのです。また、年齢が若く介護者になるのは遠いと感じられるかもしれません。しかし、年月が経(た)てば自分自身が被介護者になる可能性はあります。想定して、対応できる年齢や資金力があるときに、介護リフォームをするのも悪くありません。介護保険による給付金などもありますから、介護リフォームを検討してはいかがでしょうか。