耐震リフォームの定義は? 必要かどうかの判断基準や補助金制度についても

耐震リフォームにはどんなものがあるのか、耐震リフォームに使える補助金制度はどのような内容なのかなど、耐震リフォームについて気になるところがたくさんあるでしょう。地震が頻繁に発生する日本において、耐震リフォームは自分の家を守るための手段です。安心して生活するためにも、耐震リフォームの内容について知っておきましょう。

本記事では、耐震リフォームの定義や必要かどうかの判断基準などについて解説します。

  1. 耐震リフォームの定義は?
  2. 耐震リフォームにはどんなものがあるのか?
  3. 耐震リフォームが必要かどうかの判断基準
  4. 耐震リフォームに使える補助金制度や減税制度
  5. リフォーム業者選びのポイントは?
  6. 耐震リフォームに関してよくある質問

この記事を読むことで、耐震リフォームに使える補助金制度やリフォーム業者選びのポイントも分かります。気になっている方はぜひ参考にしてください。

1.耐震リフォームの定義は?

まずは、耐震リフォームの定義をチェックしておきましょう。

1-1.地震に耐えることが目的

耐震リフォームの主な目的は、地震に耐えることです。柱・梁・壁などを強化して地震の揺れに備える対策を施します。つまり、耐震リフォームを行うことで大地震がきた際、建物の崩壊を防ぎ命を守ることができるというわけです。ただし、耐震リフォームは建物が地面と強固に密着しているので、揺れがそのまま建物に伝わってしまうデメリットがあります。

1-2.制震と免震

建物の地震対策として、耐震のほかにも「制震」「免震」という方法があります。制震はダンパーと呼ばれる部材を設置し揺れを吸収する対策方法です。建物の揺れ方は耐震とほとんど同じですが、振動を抑えたり建物にかかる負荷を低減したりするメリットがあります。そして、免震は建物と地面の間に免震装置を設置する対策方法です。建物と地盤を離すことによって、建物に揺れが伝わりにくくなります。

2.耐震リフォームにはどんなものがあるのか?

ここでは、耐震リフォームの方法を解説します。

2-1.柱の入れ替え・筋交い・金属固定具の追加

一般的な耐震リフォームは、柱の入れ替え・筋交い・金属固定具の追加です。柱の入れ替え工事では、新しい柱に交換することで建物の耐久性を高めるメリットがあります。梁などをジャッキで持ち上げて縦柱を撤去してから新しい柱に交換しますが、建物が古く柱の本数が少ない場合は壁を剝がして柱を追加することになるでしょう。そして、筋交いや金属固定具の追加をする際は、柱の間に新しい木材を入れて金具で固定します。そうすることで、不足方向の横揺れに対する補強ができる仕組みです。

2-2.内壁への耐力壁設置

内壁を強化する場合は、耐力壁を設置する方法が一般的です。耐力壁とは、水平方向の力に抵抗して建物を支える壁のことで、設置すると耐震性が向上できます。既存の壁を交換するだけですので多くの耐震リフォームで使われている建材です。なお、耐力壁にはさまざまな種類があり、建物の工法や構造によって異なります。たとえば、鉄筋コンクリート造の建物はコンクリート製の耐力壁、木造住宅は筋交いもしくは耐力面材の耐力壁です。

2-3.外壁の補強工事・屋根材の軽量化と強化

外壁を補強するのも耐震リフォームの1つです。壁材を撤去して耐力壁や筋交いを入れる方法と既存壁に追加する方法があり、どちらも十分な耐震性が確保できます。外壁補強工事は内装の補強とは違って、建物を囲むように強化できるのが特徴です。そして、屋根材の軽量化と強化も耐震リフォームの方法で、日本瓦を防災瓦に交換したり軽量で頑丈な金属瓦に変えたりする方法があります。屋根材を軽量化することで柱や基礎にかかる負担を抑えることができ、地震による屋根材の落下を防ぐことができるのです。

2-4.基礎補強工事

建物全体を強化したいときに採用されるのが、基礎補強工事です。もともとの基礎がどのような状態かによって工事内容が変わります。たとえば、鉄筋コンクリート製の基礎なら鉄筋とコンクリートを追加する「増し打ち」という方法になるでしょう。増し打ちは床下部分だけを工事するので短期間での施工が可能です。なお、基礎の劣化や耐震性が不足している場合は「打ち直し」を行うことになります。打ち直しは増し打ちよりも建物の補強が必要になるため、工期が長くなり費用も高くなるのがデメリットです。

3.耐震リフォームが必要かどうかの判断基準

ここでは、耐震リフォームが必要かどうかの判断基準を解説します。

3-1.建物の耐震性を把握することが大事

耐震リフォームが必要かどうか適切な判断をするためには、まず建物の耐震性を把握することが大切です。建物は経年劣化するもので、構造材が老朽化したり雨漏りやシロアリ被害などで傷んだりしている恐れがあります。そのため、建物の耐震性をしっかりと把握して、今の時代に求められている耐震性が確保できているか確認しなければなりません。ただ、建物の耐久性は素人で判断することができないので、細かくチェックする際はリフォーム業者に依頼したほうがいいでしょう。

3-2.新耐震基準を満たしている建物か

新耐震基準に満たしている建物かどうかも、耐震リフォームが必要か判断する基準の1つです。新耐震基準は1981年6月に強化された耐震基準で、強化されるまでは旧耐震基準で建てられていました。旧耐震基準は「震度5程度の地震で倒壊しない」という内容だけでしたが、新耐震基準は「震度6強から7では倒壊しない」に引き上げられた新しい耐震基準です。なお、2000年6月には木造建築物の耐震基準も改正されました。2000年以降の建物であれば地震に強い建物だといえますが、新耐震基準に満たしていない建物は耐震リフォームを行うべきです。

3-3.自分でできる耐震診断をチェック!

前述したように、建物の耐震診断は専門業者に依頼したほうが確かですが、自分でできる簡易的な耐震診断もあります。日本建築防災協会のホームページで掲載されている「誰でもできるわが家の耐震診断」をチェックしてみてください。新耐震基準を満たした建物であっても、チェック表で10点満点中7点以下の建物は耐震性に不安要素があります。専門家による耐震診断をしっかりと受け、耐震リフォームの計画を立てたほうがいいでしょう。

4.耐震リフォームに使える補助金制度や減税制度

ここでは、耐震リフォームに使える補助金制度や減税制度を解説します。

4-1.耐震改修を対象とした補助金制度

耐震リフォームを行う際、心配なのが費用面だと思います。費用が不安な方は、耐震改修を対象とした補助金制度を検討してみてはいかがでしょうか。現在、多くの地域で耐震改修を対象とした補助金制度が用意されており、内容や条件は異なりますが、その内容に当てはまれば補助金制度が利用できます。たとえば、東京都千代田区の場合、下記のような内容で補助金制度を受け付けているようです。

対象となる建物

  • 千代田区内に存在する民間建築物
  • 1981年5月31日以前に建築承認を得た非木造住宅
  • 1981年5月31日以前の旧耐震基準により設計・建築された木造住宅

助成金の内容

  • 高齢者等が居住する場合が対象
  • 耐震診断の結果、必要と判断された耐震改修に要する費用の金額(上限額は120万円、耐震シェルター・ベッド設置の場合は上限額が40万円)など

補助金制度の内容は各地域によって異なるため、ホームページ等を確認してみてください。

4-2.減税制度も活用できる

耐震リフォームは補助金制度だけでなく減税制度も活用できます。たとえば、木造住宅やマンションの耐震リフォームを行った場合、一定の条件を満たすことで以下のような減税制度が適用できるでしょう。

  • 住宅ローン減税:10年以上の住宅ローンがある場合、最長10年間、ローンの年末残高1%を所得税から控除できる
  • 所得税の減税(投資型):住宅ローンの有無に関わらず申請可能。上限25万円(1年)で、標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除できる
  • 固定資産税:住宅の固定資産税を1/2軽減できる

4-3.耐震リフォームのローン・融資

補助金をもらっても支払いが厳しい・すぐに耐震リフォームの資金を調達したいと思っている方は、耐震リフォームのローン・融資制度を活用するといいでしょう。ローンと融資制度であれば、耐震リフォームの資金を早めに調達できます。たとえば、住宅金融支援機構の場合、耐震改修・補強工事のためのリフォーム融資を提供しており、金利は1%以内と安めです。リフォーム業者によっては、提携しているローンを紹介してくれるところもあるのでぜひチェックしてみてください。

5.リフォーム業者選びのポイントは?

ここでは、リフォーム業者選びのポイントを解説します。

5-1.リフォーム業者の実例をチェックする

リフォーム業者を選ぶ際は、ホームページ等に記載されている実例をチェックしておきましょう。これまでどのようなリフォームを手がけてきたのか確認することで、信頼できる業者か判断できます。特に、創業年数が長く、地域で長く続いているリフォーム業者ほどリピーターからも愛されていることが分かるでしょう。また、耐震リフォームが得意なリフォーム業者かどうかもチェックしておきたいポイントです。

5-2.スタッフの対応が丁寧でスピーディーか

スタッフの対応が丁寧でスピーディーかどうかも、リフォーム業者選びの際にチェックしておきたいポイントです。親身になって話を聞いてくれたり、相談にのってくれたりするリフォーム業者ほど安心して依頼できます。逆に、対応が不十分だったり、適当に話を聞いたりするようなリフォーム業者は不正を働く傾向があるので要注意です。耐震リフォームは建物の状態によって工事内容も大きく変わるため、きちんと説明してくれるリフォーム業者を選びましょう。

5-3.見積書の内容が具体的に記載されているか

耐震リフォームにどのくらいお金がかかるのか・どのような工事にいくらかかるのかなど、見積書の内容が具体的に記載されているかどうかもチェックしておきたいポイントです。不正を働く悪徳業者の中には、見積書の内容が大ざっぱで料金設定が不明確なところがあります。そのようなリフォーム業者は、工事後に高額な追加料金を請求してくる傾向があるので要注意です。リフォーム業者とトラブルにならないためにも、しっかりと見積書を確認しておきましょう。

6.耐震リフォームに関してよくある質問

耐震リフォームに関する質問を5つピックアップしてみました。

Q.耐震リフォームの必要性は?
A.大きな地震がやってきても建物の崩壊を防ぐことができる点です。日本は地震がとても多い国であり、今後大きな地震がやってくることも予想されています。いつやってくるか分からない地震に備えるために、今のうちに住宅の耐震性をあげることが大切です。特に、旧耐震基準の建物は地震の揺れで崩壊しやすい状態ですので、早めに耐震リフォームを検討したほうがいいでしょう。

Q.耐震リフォーム計画を立てる際の重要ポイントは?
A.事前に、耐震診断をしっかりと行い、どのような点を強化すべきか把握することです。また、内装やキッチンなど設備のリフォームを検討している際は、一緒に耐震リフォームも行ったほうが効率的でしょう。旧耐震基準の建物を新耐震基準にするためには大幅な回収が必要になるため、全面改修が必要になるならいっそ建て替えるという選択肢もアリです。

Q.耐震リフォームにかかる費用相場は?
A.一般的に、100万~120万円ほどが耐震リフォームの相場です。あくまで目安となるため、具体的な費用を知りたい方は、リフォーム業者に耐震診断や無料見積もりを依頼してください。静岡市を中心にリフォーム工事を行っている藤ノ家では無料相談を受け付けています。耐震リフォームでお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。

Q.100万円以下でできる耐震リフォームの工事内容は?
A.構造に対する耐震リフォームではなく、補強だけ行う場合は100万円以下で工事ができます。たとえば、1間の壁に筋交いを設置する場合は約25万円、木造住宅に耐震金物を10個ほど取り付けたり、構造部の接合部分を強化したりする場合は約40万円で済むケースがほとんどです。

Q.注意すべきリフォーム業者の特徴は?
A.以下の項目に当てはまるリフォーム業者は注意したほうがいいでしょう。

  • アポなしで突然訪問してくる
  • すぐに大幅な値引きをする
  • ホームページに記載されている情報と話がまったく異なる
  • 必要以上に不安感や危機感をあおってくる
  • 契約を急かす
  • キャンペーン価格やモニター価格などの金額が異常に安い

まとめ

耐震リフォームは、地震に耐える建物にするのが目的です。柱・梁・壁などを補強して揺れに強い建物にできます。耐震リフォームの内容は、外壁や内壁に耐力壁を追加したり、屋根材を軽量化したり、基礎部分を強化したりするなど方法はさまざまです。建物の老朽化や劣化状態によって、適切な耐震リフォームを行ってください。なお、適切な耐震リフォームを行うためには、まず建物の耐震性を把握しなければなりません。実績のあるリフォーム業者に依頼して、建物の耐震性や劣化状態などをチェックしてもらいましょう。

え?リフォームでここまで出来るの!?