耐震補強で筋交いはどんな役割?耐力壁・金物との関係も解説
木造住宅の耐震補強について調べていると、「筋交いを入れる」という方法を目にすることがあります。
筋交いは、柱と柱の間に斜めに入れる部材です。地震や強風によって建物に水平方向の力が加わったとき、建物の変形に抵抗する役割があります。
そのため、筋交いの増設は木造住宅の耐震補強で用いられる方法の一つです。
ただし、筋交いだけを見て住宅全体の耐震性を判断することはできません。耐震補強では、壁の量や配置、柱・梁などの接合部、基礎、建物の状態などを確認したうえで補強方法を検討します。
この記事では、耐震補強における筋交いの役割から、構造用合板による耐力壁や耐震金物との関係、実際に耐震リフォームを考える際の流れまで解説します。
- 耐震補強で使われる筋交いとは
- 耐震補強では壁の配置や接合部も重要
- 筋交い・耐力壁・耐震金物による補強
- 静岡市で耐震補強を検討する流れ
1.耐震補強で使われる筋交いとは
筋交いは、木造住宅の柱と柱の間に斜め方向へ設ける部材です。
柱と梁でできた四角形の骨組みは、横方向から強い力を受けると変形します。そこで筋交いを設けることで、地震や強風による水平方向の力に抵抗する壁をつくります。
内閣府の耐震改修に関する資料でも、木造住宅の耐震改修方法として、筋交いの挿入や構造用合板による耐力壁の補強などが紹介されています【注1】。
筋交いの増設は耐震補強方法の一つ
藤ノ家でも、木造住宅の耐震リフォーム方法として「筋交いの増設」を案内しています。
公式サイトで紹介されている主な耐震補強方法には、次のものがあります。
- 筋交いの増設
- 構造用合板などによる耐力壁の増設
- 耐震金物の設置
どの補強方法を採用するかは、住宅の状態を確認したうえで検討します。
既存住宅では現在の状態を確認する
すでに筋交いが入っている住宅でも、それだけで耐震性を判断することはできません。
国土交通省が示す木造住宅の耐震性能の確認では、壁だけではなく、壁の配置バランス、柱・梁などの接合部、基礎、建物の劣化状態なども確認します【注2】。
特に築年数の古い住宅では、現在どのような構造になっているのかを確認し、その結果から必要な補強を考えることが重要です。
2.耐震補強では壁の配置や接合部も重要
耐震補強では、筋交いの本数だけでなく「どこに地震へ抵抗する壁があるのか」「その壁から建物の骨組みへ適切に力を伝えられるか」も重要になります。
耐力壁は配置のバランスも確認する
内閣府では、木造住宅の耐震改修について、地震の横方向の力に抵抗できる壁を「全体の均衡をはかりながら配置する」ことを主な方法として示しています【注1】。
国土交通省の木造住宅の耐震性能検証でも、「壁の配置バランス」は確認項目の一つです【注2】。
そのため、筋交いを設置する場所は、施工しやすさだけで決めるものではありません。
住宅全体の間取りや壁の配置を確認したうえで、必要な場所へ補強を計画します。
筋交いの端部は適切な接合が必要
筋交いは、柱と柱の間へ斜めに入れるだけではありません。
内閣府の資料では、筋交いの端部を柱と梁などの接合部付近で金物を使って緊結する補強方法が示されています【注1】。
地震時に筋交いが受けた力を柱・梁・土台へ伝えるためには、接合部分も重要だからです。
藤ノ家でも、耐震リフォームの方法として耐震金物の設置を紹介しています。
基礎や建物の状態もあわせて確認する
耐震性を考える際は、壁だけでなく基礎や建物の状態も確認します。
国土交通省が示す木造住宅の耐震診断では、基礎や接合部、腐朽・シロアリ被害などの劣化も確認項目に含まれています【注2】。
藤ノ家でも、床の沈みやドアの開閉不良などが気になる場合、症状だけで原因を決めつけるのではなく、住宅の状態を確認することを案内しています。
3.筋交い・耐力壁・耐震金物による補強
木造住宅の耐震補強には、筋交い以外にも複数の方法があります。
どれか一つが常に優れているわけではなく、住宅の状態や補強計画によって使われる方法が異なります。
| 補強方法 | 主な役割 |
|---|---|
| 筋交い | 斜め材によって地震などの横方向の力に抵抗する |
| 構造用合板などの耐力壁 | 壁面を補強し、横方向の力に抵抗する |
| 耐震金物 | 柱・梁・土台や筋交いなどの接合部分を補強する |
構造用合板による耐力壁もある
地震に抵抗する壁をつくる方法は、筋交いだけではありません。
構造用合板などを適切に施工して、壁面を補強する方法もあります。
内閣府でも、木造住宅の耐震改修方法として、筋交いの挿入と構造用合板による耐力壁の補強の両方を紹介しています【注1】。
藤ノ家でも、耐震リフォームの方法として構造用合板を使った耐力壁の増設を案内しています。
なお、藤ノ家公式サイトでは、筋交いと構造用合板をどの条件で使い分けるかという独自の設計基準までは公開されていません。そのため、どちらが適しているかは実際の住宅を確認して判断する必要があります。
筋交いと構造用合板を併用した施工例
藤ノ家には、筋交いと構造用合板を併用して耐震補強した住宅事例があります。
駿河区のM様宅では、エコリフォームと耐震工事を同時に行い、構造用合板と筋交いを併用して壁を補強しています。
あわせて断熱材の充填やペアガラスの掃き出しサッシの設置も行われました。
この事例から分かるのは、実際のリフォームでは耐震工事だけを単独で考えるのではなく、住宅の改修内容に合わせて複数の工事を組み合わせる場合があるという点です。
なお、藤ノ家公式サイトでは、この事例で使用した筋交いの寸法・本数・配置場所などの詳細な設計内容までは公開されていません。
既存住宅への筋交い設置は壁工事を伴う
筋交いは柱と柱の間に設置するため、既存住宅へ新しく施工する場合は壁内部へアクセスする必要があります。
国土交通省が紹介している既存木造住宅の補強例でも、既存の壁などを撤去して筋交いや構造用合板を施工し、その後に仕上げを復旧する工事例が示されています【注3】。
ただし、どこまで解体・復旧が必要になるかは住宅の構造や補強位置によって異なります。
間取り変更や内装リフォームなどで壁を解体する予定がある場合は、その機会に耐震性も確認し、必要に応じて耐震補強を組み合わせる方法もあります。
4.静岡市で耐震補強を検討する流れ
「自宅にも筋交いを追加したほうがよいのでは」と思っても、最初から補強方法を決める必要はありません。
まず住宅の状態を確認し、耐震診断の結果から必要な補強方法を検討します。
耐震診断から補強方法を決める
耐震補強を考えるときは、次のような流れで進めます。
- 現在の住宅の状態を確認する
- 耐震診断を行う
- 耐震性能や弱い部分を確認する
- 必要な補強方法を検討する
- 補強計画に基づいて工事を行う
藤ノ家では、筋交いの増設、耐力壁、耐震金物などの耐震工事に対応しています。
また、耐震リフォームと間取り変更を組み合わせる場合も、建物の耐震強度を損なわない範囲で計画すると案内しています。
2026年度の静岡市耐震補助制度
静岡市では、1981年5月31日以前に建築された、または同日において建築中だった対象木造住宅について、耐震補強を支援しています【注4】。
2026年度の「木造住宅耐震事業」では、耐震評点1.0未満の住宅を1.0以上にする補強計画・耐震補強工事について、対象経費の8割、上限115万円が補助されます【注4】。
上限115万円はすべての対象工事で一律に受け取れる金額ではありません。補助額は対象経費の8割で計算されるため、115万円の上限まで利用するには、対象経費が143万7,500円以上となる必要があります。
2026年度の申請受付期間は2026年4月6日から11月30日までで、工事は2027年1月末までに完了する必要があります【注4】。
また、補強計画は静岡県耐震診断補強相談士が所定の耐震診断方法に基づいて作成するなど、利用には条件があります。
筋交いを追加する工事だから自動的に補助対象になるわけではありません。補助制度を利用する場合は、工事契約・着工前に静岡市の最新条件を確認してください。
筋交いが必要か分からない段階で相談する
藤ノ家では、静岡市清水区を中心に耐震診断・耐震リフォームに対応しています。
公式サイトでは、筋交いの増設、構造用合板による耐力壁、耐震金物などの補強方法を紹介しています。
ただし、どの住宅にどの補強方法が必要なのかは、住宅の状態を確認しなければ判断できません。
「築年数が古く筋交いが入っているか分からない」「間取り変更と一緒に耐震性も確認したい」といった場合は、工法を先に決めるのではなく、まず現在の住宅の状態を確認するところから始めるとよいでしょう。
まとめ
筋交いは、木造住宅の柱と柱の間に斜めに設け、地震などによる横方向の力に抵抗するための部材です。
耐震補強では筋交いを増設する方法がありますが、実際の補強計画では壁の配置、接合部、基礎や建物の状態なども確認します。
また、筋交い以外にも、構造用合板による耐力壁や耐震金物などの方法があります。
そのため、耐震補強を考える際は、最初から「筋交いを何本入れるか」を決めるのではなく、まず耐震診断で現在の住宅の状態を確認することが重要です。
筋交いは耐震補強の選択肢の一つです。住宅全体の状態を確認し、その家に必要な補強方法を組み合わせて考えましょう。
藤ノ家では、静岡市清水区を中心に耐震診断・耐震補強工事に対応しています。筋交いを追加したほうがよいのか、リフォームと一緒に耐震工事をしたほうがよいのか分からない場合は、まず現在の住まいの状態を確認するところから相談できます。
参考・出典
- 【注1】内閣府「日本における耐震改修技術の概要について」
- 【注2】国土交通省「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」
- 【注3】国土交通省「木造住宅の補強方法」
- 【注4】静岡市「木造住宅耐震事業」
